人間にとって雨露をしのぐことができる住宅の存在は欠かせませんが、虫や獣にとってもこうした環境が好都合であることは間々あるものです。
人間のテリトリーに勝手にやってくるこうした招かれざる客たちは、害獣や害虫と呼んでもよい存在ですが、在来工法の一般的な木造住宅などと比べると、ログハウスで見かける害獣や害虫の種類はちょっと違っています。
一般住宅の害虫・害獣といえばネズミやゴキブリだか……
在来工法の一般的な木造住宅でよく見かける害獣・害虫といえば、ある程度イメージできる範囲は限られているはずです。
まずは天井裏ですが、クマネズミのような小動物が屋根のすき間などから侵入し、夜間に足音を立てて安眠を妨害したり、電線をかじったりする被害は少なくありません。
また、ネズミに比べると大型ですが、伸縮自在なため小さな穴があれば容易に内部に侵入してしまうハクビシンなども、同様の害獣として悩みのタネとなっています。
ハクビシンの場合には夜間の足音もさることながら、鳴き声も盛りのついたネコを思わせるやかましいものですし、加えて巣材にするために天井裏の敷き詰められている断熱材をかじってぼろぼろにしたり、フンを一箇所に溜め込んだりする習性があります。
そのため副次的にノミやダニといった害虫も湧きやすく、衛生面での心配が特に大きいといえます。
そのほかには台所を我が物顔で歩き回るゴキブリなども典型的な害虫といえますが、ふだんは物陰に隠れていて気づかないことがあります。
ゴキブリの隠れ家といってもいろいろですが、家具や家電製品のほんの数ミリのすき間、シンクの排水溝などは要チェック箇所です。
そのほかにも天井裏であったり、和室の鴨居のすき間などもゴキブリが好んで通路にしている場所といえます。
床下も人の目が届きにくく、適度な湿気と温度があるため害虫・害獣が生息しやすい場所です。
古い家であれば基礎と建物のすき間、換気口、配管のすき間などから侵入してきます。
ネズミやハクビシン、ゴキブリなどのほか、ムカデやシロアリ、クロアリ、ダンゴムシなどが例として挙げられます。
構造の違いが害虫・害獣にも影響
このように在来工法の一般的な木造住宅に巣食う害虫や害獣の種類はいろいろですが、ログハウスの場合にはこれらと建物の構造であったり、立地している場所が異なることが多く、かならずしもその種類が一致するとは限りません。
ログハウスは天井板を張らずに吹き抜け構造としたり、ロフトを設けて上部スペースを活用したりすることが多いため、少なくとも天井裏にネズミやハクビシンが住み着くおそれはないといえます。
その意味では一般的な住宅よりも害獣・害獣対策にかけては気楽といえますが、床下はやはり警戒しておいたほうがよいでしょう。
ログハウスであっても床下換気口はかならず存在しますし、とりわけ山間部に建てられるログハウスでは夏場の湿気対策、冬場の水道管の凍結防止などの観点から、広めの床下換気口を設けて季節に応じて開閉するつくりとなっているのがふつうです。
そのため床下に一般住宅と同様の害獣・害虫が侵入することはやはりあり得ますので、定期的なくん蒸などは必須となります。
ログハウスの意外な害獣・害虫とは
ログハウスは壁から床まで木でつくられていますので、害虫のなかでもシロアリなどは特に気になるところですが、ある程度の高さのあるコンクリートの基礎が施工されており、通気がしっかりと管理されているのであれば、意外と被害に遭わずに長持ちするものです。
ただし、地面とじかに接している木製の階段があったり、ログエンドに腐朽したまま放置されているような箇所があると、そこを突破口にして内部に侵入されてしまうことがあります。
そのほかに一般住宅ではあまり見掛けない種類として、樹上生活を好むリス(タイワンリス)が木材をかじったり、キツツキが壁に穴を開けるなどの被害もみられます。
また、張り出した軒下にスズメバチが巣をつくることがあり、こちらも害虫の一種として駆除がやっかいなものです。