別荘所有者の固定資産税と住民税について

税務署 別荘生活
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別荘を購入するにあたり、土地や建物の価格そのものに加えて、将来にわたって負担しなければならないランニングコストを資金計画に組み入れることはたいへん重要です。
このランニングコストには管理費、負担金、修繕費用などのさまざまな種類がありますが、それ以外にも税金があることは忘れてはならないところです。

別荘にかかる固定資産税

住宅用地の特例がない別荘の固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日現在を賦課期日として、土地や家屋などの固定資産を所有している人に対して、その所在する市町村が課している税金で、地方税の一種といえます。

特に、土地に定着していて、壁などで外部から遮断されており、住居や倉庫、作業場などの目的に利用している建物は、すべて地方税法でいう「家屋」として固定資産税の課税対象となります。

もちろん、常時人が住んでいるわけではない別荘のような建物についても、土地・家屋の両方に対して固定資産税が賦課されます。

この固定資産税に関しては住宅用地の特例とよばれる制度があり、常時人が生活をしているふつうの住宅の場合、敷地としての土地は本来の税率の6分の1まで軽減される定めがあります。

より正確にいえば、次の表にあるとおり面積による軽減率の違いがあるほか、固定資産税とあわせて賦課される都市計画税についても同様に軽減される特例があります。

このため、ふつうの生活をする住宅については、固定資産税が過度に高額になるようなことはありません。

住宅用地の特例率

住宅用地の区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき200平方メートルまでの部分
評価額の6分の1 評価額の3分の1
一般住宅用地
小規模住宅用地以外の住宅用地
評価額の3分の1 評価額の3分の2

高額な別荘の固定資産税の節税方法

別荘のように、本来の自宅とは別に余暇を楽しむためにつくられた建物は、原則的に敷地である土地について住宅用地の特例を受けることができません。

これが別荘の固定資産税が高額になってしまう原因ですが、ここでポイントとなるのが、別荘とはいっても毎月かならず定期的に滞在をするような建物です。

このような場合は別荘というよりもセカンドハウスとしての位置づけで、現実に居住の実態が認められますので、場合によっては住宅用地の特例の適用を受けることが可能です。

もちろん課税している市町村の判断によりけりですが、居住の実態を証明できる書類を添えて申告をする手続きをしておくことは、無駄にはならないでしょう。

セカンドハウスとして認められる条件としては、次のようなものが挙げられます。

セカンドハウスの要件

居住用の家屋であること。
 したがって事務所や店舗は対象外です。

特定の人の利用であること。
 本人や家族などに利用者が限定されない保養所などは対象外です。

年間を通じて毎月1泊2日以上の利用があること。
 夏休みシーズンだけの季節的な利用、日帰りのみの利用などは対象外です。

また、住宅用地の特例の適用を受けるための申告書に添える証明書類としては、次のようなものがあります。

居住実態を証明できる書類

高速道路料金の領収書(ETC利用明細書)の写し
市町村内でで買い物した際のレシート
電気料金やガス料金の了承書の写し など

別荘の所有者に対する均等割住民税とは

住民税とは市町村民税と都道府県民税の総称であり、福祉・教育・ごみ処理・消防・救急などの地方自治体が提供している公共サービスを維持するために、原則としてその自治体の区域に住んでいる人々に対して賦課される税金です。

この住民税は、均等割と所得割という2つの部分から成り立っていますが、所得割が所得金額に応じて負担するものであるのに対して、均等割は所得金額にかかわらず一律の金額を負担するものとされています。

均等割住民税は市町村の区域に住所がある人だけではなく、別荘・事業所・引っ越しで空き家になっている住宅などを所有しているものの市町村の区域内に住所がない個人に対しても課税されます。

一般に年間数千円程度の負担ですが、それでもランニングコストの一部に変わりはなく、覚えておいて損はありません。