旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘の特色とデメリット

別荘

全国には「ミニ別荘」とよばれる小規模な別荘が集中している地域がいくつかみられます。首都圏であれば鹿島灘に面した旧大洋村、いまの鉾田市を中心としたエリアは、こうした「ミニ別荘」のメッカともいわれる場所です。もしも定住のために「ミニ別荘」の購入を検討するのであれば、そのメリット・デメリットを見据えた上で判断をするのがよいでしょう。

旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘登場の経緯

旧大洋村は現在は市町村合併により茨城県鉾田市となっています。
この地域は太平洋岸に近く、比較的平坦な土地が多いものの、かつては鉄道やバス、高速道路のネットワークが弱く、いわば「陸の孤島」の状態にあったといえます。
それだけに日常生活を営むためのマイホームとしての戸建て住宅の需要はあまりなく、開発が進まない時代が長く続いてきました。

しかし1980年代に入ると、全国的なリゾートブームに乗って、この地域でも庶民に手が届く程度の格安価格をアピールする「ミニ別荘」の開発が盛んになりました。
これまで開発が進んでいなかったことから土地が潤沢に残されていたこと、鹿島臨海鉄道のような交通インフラが整備されるようになったことに加えて、メロンなどの農産物が豊富で、夏場は海水浴場でにきわい、栃木・群馬などの海なし県からの観光客にはそれなりに知名度があったことなどが理由といえます。

旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘の特色とは

なんといっても格安物件が多い

旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘の特色としてまず挙げられるのが、その価格水準の安さです。

Athome、Suumo、Nifty不動産などの一般的な不動産売買のポータルサイトで検索して見ればわかるとおり、鉾田市の戸建て別荘物件の価格帯は1棟あたり100万円から300万円程度で購入できるものが多く、数年前までであれば30万円や50万円といった驚きの激安価格のものさえサイト上に登場していました。

現在はそこまでの値崩れはないようですが、それでも100万円台の物件はたまに見かけますし、300万円も出せば少なくとも外見はそこそこの庭付き一戸建てが手に入る点は、他の別荘地にはない魅力です。

積雪の心配がない気候

太平洋岸にあり年間を通じて比較的温暖なため、この地域での積雪はほとんどありません
そのためマイカーで往来する場合にも、スノータイヤに履き替える必要はなく、飛騨や山梨、能登などの別荘とは違って、冬場の利用はいくらでも可能です。

オールシーズンで使えることから、最近では別荘としての不定期の利用ではなく、定年を迎えたサラリーマンが悠々自適の定住生活を送るために購入するケースも目立っています。

マイカーで行ける距離にさまざまな施設がある

夏場の海水浴場では人気のある大竹海岸がすぐそばにあるほか、「水戸黄門」で知られる城下町で県庁所在地の水戸市、サッカーJリーグの鹿島アントラーズの本拠地である鹿嶋市からはそれぞれ20キロ圏で、レクリェーション・レジャースポットには事欠きません。

スーパーマーケットやレストラン、ショッピングモール、ホームセンターや家電量販店なども近場にありますので、マイカーさえあれば定住生活で困ることはないでしょう。

また、東京都心からも100キロ圏と、距離的には意外に近いため、日常は東京で生活し、週末だけを別荘で過ごすといった使い方もできます。

ミニ別荘を購入するならデメリットも確認を

旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘を購入するのであれば、やはりデメリットについても知っておたいほがよいといえます。
不動産はいったん購入してしまうと、なかなか好条件で売却するのが難しいため、一方では慎重な判断が求められます。

建物が貧弱なためリフォームが必要かも

旧大洋村(鉾田市)のなかで格安販売されているミニ別荘の多くは、バブル経済の時代に粗製乱造されたものですので、建物としてのグレードがかなり低く、もともと定住には向かないつくりとなっています。

この地域のミニ別荘のスタンダードな仕様を挙げてみると、次のようになります。

屋根はトタン葺き
内壁はクロス張りせず石膏ボードがむき出し
天井板を張らずロフトを設置
コンクリートの土間に小さな浴槽が付いたバスルーム
トイレとバスルームはアコーディオンカーテンで間仕切り
トイレは汲取式
基礎はブロック積み
傾斜地にせり出して建築されることがある

これらは価格をできるだけ安くするための工夫ともいえますが、デメリットとして働くと次のような懸念があることも確かです。

台風などで屋根材が剥がれて雨漏りしやすい
ボードの隙間でアリ・ゴキブリなどが繁殖して虫害に遭いやすい
暖房効率が悪いため冬は寒く夏は蒸し暑い
風呂の湿気が抜けず壁や柱が腐食したり、不衛生な環境になりやすい
地震や地すべりがあった際に建物が倒壊してしまいかねない

このように価格とトレードオフの関係としてクオリティが犠牲となっている点には特に注意を要します。
ミニ別荘の多くは築年数がすでに30年から40年は経過しており、一般的な木造住宅の耐用年数の20年程度を軽く上回っていますので、その意味でも価格相応の買い物といえるのかどうか、現地に行って自分の目で確かめてみることも重要です。

もしも定住を目的とするのであれば、屋根や外壁といった傷みのはげしい部分のリフォームは、最低限でも必要になるおそれがあります。

バブル崩壊後の管理が行き届かない別荘地が多い

バブル経済で潤った開発業者の多くは、すでに倒産して別荘地を管理していません。

完全に自主管理となっている別荘地、地元の別の不動産業者などが共同井戸の管理だけを行っている別荘地など、いくつかのパターンがありますが、いずれにしても軽井沢や那須のような有名どころの別荘地とは異なり、まともな管理は行われていないと見たほうがよいでしょう。

その結果として、すでに所有者が管理を放棄してしまって廃屋となっている別荘が点在していたり、別荘地に向かうまでの道路が笹や樹木で覆われていて進入ができなくなっていたり、落ち葉が堆積して側溝が塞がり下水があふれたりするケースが多々あります。

仮に管理不十分で共同井戸が使えなくなった場合、新たに自前で井戸を掘る必要がありますが、その費用は20万円から50万円程度はかかります。

マイカーがないと生活できない

旧大洋村(鉾田市)の別荘地は、農地としても利用価値のない、幹線道路から奥まった場所にある傾斜地を強引に開発したものが少なからずあります。

公共交通機関としては路線バスの関鉄グリーンバス、鉾田市の運営するデマンドタクシーがありますが、幹線道路沿いの停留所から別荘地まではかなり歩きますので、結局は自家用車がなければ買い物や病院には行けないのが実情です。

ミニ別荘地に定住している世代も高齢者が多く、隣近所の助け合いで自家用車を出してもらうといったことも期待できません。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットも同様に、市街地や幹線道路沿いにはありますが、もともと市街地や幹線道路からは離れた場所にあるミニ別荘地の周辺にはない場合がほとんどです。

メリット・デメリットの再確認を

このように旧大洋村(鉾田市)のミニ別荘は価格の安さなどのメリットが大きい反面、建物のクオリティの低さなどのデメリットもあります。購入する場合はメリット・デメリットの両方を再確認の上で、慎重に判断することが重要です。

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